Ep1-R|LLZO/Li Interface Construction & DFT Dataset for ML-IAP

追記(2025-12-13)
本シリーズは方針を更新し、まず LLZO粒界におけるLi偏析・集積(短絡の前駆現象) を優先して解析します。最新ロードマップは 研究ノート(ハブ) をご覧ください。
なお本稿の「LLZO/Li界面のDFT→学習用データ(extxyz等)生成」手順は、後続ステップ(界面シナリオ)に接続するための基盤として引き続き有効です。

Quantum ESPRESSO × Allegro (PyTorch) × LAMMPS
本稿では、ML-IAP (Allegro) 学習のためのDFTデータ生成手順を紹介します。例として LLZO(001) 面と Li 金属(001) 面を整合させた界面モデルを構築し、DFT AIMD により数千フレームの構造・力データを取得します。
(方針更新により、短絡(デンドライト)に至る前段としてまず粒界(grain boundary)を優先しますが、本稿の界面データ生成フローは粒界モデルにも同様に適用できます。)

1. 界面モデル構築

  • LLZO supercell (96 atoms) と Li metal (64 atoms) の整合
  • 真空層 12 Å 、周期境界条件 xyz
  • エネルギー最小化と緩和条件設定

2. DFT AIMD 設定

  • QE 7.4.1 (GPU版)
  • PBEsol + PAW 擬ポテンシャル
  • k点 2×2×1、カットオフ 100 Ry、温度 300 K

3. データ変換

出力 (pw.out) から energy, forces, stress を抽出し、ASE を用いて Allegro 形式 (JSON/XYZ) に変換。E(3) 等価性を持つため、回転増強データは不要です。
※この「QE出力→energy/forces/stress抽出→extxyz等へ変換」という部分は、界面だけでなく 粒界(grain boundary) でも同様に使えます。

4. 次章予告

Ep2-R では H200 NVL 上での Allegro 学習と GPU 性能評価を行います。
方針更新により、今後のDFTデータセット拡張は LLZO粒界×Li偏析(前駆現象) を優先し、その後に界面シナリオへ接続していきます。


現在の進行状況と今後の予定(Ep1-Rアップデート)

現在、本稿で紹介した LLZO(001)/Li(001) 界面モデルを用いて、QE 7.4.1 (GPU版) による DFT AIMD を実際に実行し、全エネルギー・力・応力を含むラベル付きデータ (energy, forces, stress)を取得済みです。これらの出力から、ASE を使って E(eV), F(eV/Å) 付きの extxyz 形式へ変換し、ML-IAP (Allegro) 学習にそのまま投入できるデータセットの整備を進めています。

今後は、本稿の界面系に加えて、バルク LLZO・バルク Li、温度やLiカバー率の異なる界面、わずかにひずみを加えた構造などをQEで追加サンプリングして状態空間を広げます。
ただし優先順位としては、まず LLZO 粒界(grain boundary)構造を追加サンプリングし、Li の偏析・集積・拡散(短絡の前駆現象)を定量化していきます。これらのデータを Ep2-R での Allegro 学習・H200 NVL 上でのスケーリング評価に接続し、最終的には粒界で得た知見を界面シナリオへ接続して、短絡(フィラメント/デンドライト)理解へ展開していく予定です。