Ep0-R|LLZO-Li Dendrite Growth: DeepMDからML-IAP (Allegro) への世代交代
Ep0-R|LLZO-Li Dendrite Growth: DeepMDからML-IAP (Allegro) への世代交代
H200 NVL × Quantum ESPRESSO / ML-IAP (Allegro) / LAMMPS
リチウム金属とLLZO界面で起こるデンドライト成長を、AIポテンシャルで高精度・高速に追跡する次世代ワークフロー。
DeepMDを用いた従来手法をベースに、E(3)等価性を備えたML-IAP (Allegro) へ移行し、GPUスケーラビリティと物理的整合性を両立します。
1. 背景:DeepMDの限界と次世代AI-MDの必要性
DeepMDは第一原理分子動力学の高速化を実現しましたが、回転・反転対称性を近似的にしか扱えず、大規模GPU構成では通信オーバーヘッドが顕著でした。ML-IAP (Allegro) はPyTorchベースでE(3)等価性を厳密に満たし、KokkosによるGPU間通信最適化を備えています。
2. 新ワークフロー概要
- QEでDFTデータ(構造・エネルギー・力・応力)生成
- データをAllegro形式に変換しPyTorchで学習
- LAMMPS (Kokkos) でAI-MD実行/Li拡散経路解析
- 結果を3D HTMLで可視化(“回せる3D”)
3. 初期結果
H200 NVL × 8 GPU構成で従来DeepMD比 1.8× のスループット。Liイオン経路をナノ秒スケールで安定追跡できました。
4. 今後の展開
次稿Ep1-Rでは、LLZO/Li界面の構築とDFTデータ準備から、Allegro学習データへの変換までを解説します。
現在の進行状況と今後の予定(Ep0-R アップデート)
本シリーズで宣言した「QE × ML-IAP (Allegro) × LAMMPS」による LLZO/Li デンドライト解析は、 すでに GPU 版 Quantum ESPRESSO 7.4.1 を用いた LLZO/Li 界面の DFT AIMD 実行段階に到達しており、 AIMD から得られた全エネルギー・力・応力を含むラベル付きデータを extxyz 形式へ変換する パイプラインの整備を進めています。DeepMD 世代で培ったワークフローをベースにしつつ、 E(3) 等価性を備えた ML-IAP (Allegro) で同じ物理を再現するための “橋渡し” がほぼ完了しつつある状況です。
今後は、単一の LLZO/Li 界面だけでなく、バルク LLZO・バルク Li、温度や Li カバー率の異なる界面、 軽いひずみを加えた構造などを Quantum ESPRESSO で追加サンプリングし、より広い状態空間をカバーする DFT データセットを構築していきます。これらのデータは Ep1-R で扱う DFT データ生成ワークフロー、 Ep2-R の Allegro 学習・H200 NVL 上でのスケーリング評価、Ep3-R の LAMMPS + ML-IAP による 大規模 AI-MD と 3D 可視化へと順次接続していく予定です。DeepMD 世代との比較も含めて、 本シリーズ全体をアップデートしながら「世代交代」の実像を示していきます。