HPCクラスター構築(その10)最終回
これまでHPC Clusterの構築方法と簡単な使い方を解説してきましたが、Virtualbox上でのことでした。Virtualboxでは所詮1台のコンピュータ上で仮想のクラスターをシミュレーションしているので、性能などには限界があります。Real マシンのクラスターで性能や使い勝手がどうなるかなど、RealマシンにVirtualbox上のクラスターを移設したくなるかもしれません。今回はこの方法を解説します。
簡単に実行可能です。
Virtualbox上のhpc01~hpc04のシステムディスクを4本のUSBメモリにブート可能な形でクローンします。
リアルマシンとして用意するhpc01~hpc04にそれぞれのUSBを挿入してUSBからブートします。ネットワークをこちらの構成図のように接続し、動作確認を行います。問題なければ、リアルhpc01~hpc04でUSBから内蔵のデバイス(SATAまたはNVMe)にUSBの内容をクローンします。
その後リアルhpc01~hpc04をリブートします。
以上でVirtualクラスターがRealクラスターに移設されます。
上記の作業で肝となるのが、システムディスクをUSBにブート可能な形でクローンするツールです。ここからダウンロードできます。ダウンロードの方法は、こちらをご覧ください。
ダウンロードの手続きが終わると、登録したメールアドレスにダウンロードURL案内の下図メールが送信されます。
赤丸中のダウンロードを右クリックしリンクをコピーします。
その後、virtualboxのhpc01に移ります。
firefoxを開き、URL入力部分に先ほどコピーしたリンクをペーストしenterキーを押します。
もしペーストができない場合は、ホストゲスト間のコピー&ペーストの設定が必要ですので、こちらをご覧ください。
するとhpc01の/home/hpc/Downloadsにclone2sdというファイルがダウンロードされます。実行可能に変更して、hpc01~hpc04の/usr/local/sbinにコピーします。
次に、hostマシンにUSBメモリを挿入して、guestOSで使えるように設定します。それにはhostOSのvboxusersグループにvirtualboxを起動するユーザ(この連載ではhpcのみ)を加えます。hostOSのターミナルでsudo usermod -aG vboxusers hpcを実行します。
次にguestOSのUSBの設定を変更します。これにはguestOSをshutdownする必要があります。shutdown状態で、Virtualbox Managerでhpc01をクリックして、下図の赤丸のSettingをクリックします。
続いてUSBをクリックします。
Enable USB Controllerをチェックして、USB 3.0を選択し、OKをクリックします。
以上をhpc02~hpc04でも繰り返します。その後hpc01を立ち上げ、立ち上がったらhpc02~hpc04
を立ち上げます。hpc01~hpc04でUSBデバイスが認識されます。新しいUSBメモリを差し込む前にhp01で現在認識されているUSBデバイスを確認しましょう。Devices -> USBをクリックします。
USBメモリ(Generic Mass Storage)が1つと、Topreのキーボード、Logitechのワイアレスマウスが接続されているのですが、その通り認識されています。そこにもう1つのUSBメモリを差し込んでみます。JMicron Externalという名前で認識されました。ここにチェックを入れます。
するとこの仮想マシンhpc01にマウントされUSBのアイコンが表示されます(黄色い円の中)。
ターミナルで見てみると/dev/sdb2としてマウントされていることがわかります。
それではいよいよこのUSBメモリにhpc01のシステムディスクをクローンします。
rootになって行います。
マウントしたままではクローンできないので、クローン先のUSBをumountします。hpc01にNFSでマウントされているファイルをクローンしないよう、autofsをstopします。その後先ほどダウンロードしたclone2sdを使いクローンを行います。clone2sdにはどのデバイス(/dev/sdb)にクローンするのかをパラメータで知らせます。
sudo su
umount /dev/sdb2
systemctl stop autofs
time clone2sd b
/dev/sdb2にファイルシステムがあるが進めても大丈夫か聞かれますのでyを入れます。
するとUSBをフォーマットしてクローンが始まります。USBメモリの書き込み速度によって終わるまでの時間は変化します。
このUSBメモリの場合、7分47秒かかりました。クローンがおわったら、USBメモリを抜いて、クローンしたいリアルマシンに差し込んでUSBメモリからブートします。その後上記と同様の手順で、USBメモリのOSをリアルマシンにクローンします。すると、hpc01のリアルマシンが出来上がりますので、同様の手順をhpc02~hpc04で繰り返します。それでリアルマシンのクラスターが完成します。
これでHPCクラスター構築の連載は終了ですが、ご不明な点やご要望がございましたら、コメントをご記入ください。コメントは全て読み、必ず回答いたします。